源氏物語  若菜上・登場人物と見出し

光る源氏の准太上天皇時代三十九歳暮から四十一歳三月までの物語十九歳三月から十月までの物語
あかしのあまぎみ <あかしのにょうご> 呼称---    
名称よみかた役柄と他の呼称
光る源氏ひかるげんじ呼称---六条院・六条の大臣・主人の院・大殿・大殿の君、三十九歳四十一歳三月
朱雀院すざくいん呼称---朱雀院の帝・院の帝・一の院・主人の院・父帝・帝・主上、源氏の兄
女三の宮おんなさんのみや 呼称---三の宮・内親王・姫宮・女宮・宮・姫宮の御方・宮の御方・御方、朱雀院の第三内親王
柏木かしわぎ呼称---右衛門督・衛門督・衛門督の君・督の君・宰相の君、太政大臣の長男頭中将・中将
夕霧ゆうぎり呼称---中納言・中納言の朝臣・権中納言の朝臣・中納言の君・大将・大将の君、光る源氏の長男
雲井雁くもいのかり呼称---三条の北の方・北の方・女君、夕霧の北の方
太政大臣<だじょうだいじん呼称----太政大臣・太政大臣君・父大臣・大臣・大殿
紫の上むらさきのうえ呼称---対の上・北の政所・紫・対・女君・御方、源氏の妻
花散里花散里呼称---上
朧月夜の君おぼろづきよのきみ 呼称---内侍の尚君・尚侍の君・女君
秋好中宮あきこのむちゅうぐう呼称---中宮・后の宮・宮
冷泉帝れいぜいてい呼称---朝廷・帝・内裏
明石の尼君 呼称---大尼君
明石御方あかしのおんかた呼称---明石の御方・祖母君・母君・御方・君
明石女御あかしのにょうご呼称---桐壺の御方・淑景舎・女御の君・春宮の御方・女御・桐壺・若君・君、源氏の娘
東宮とうぐう呼称---春宮・宮
玉鬘たまかずら呼称--尚侍の君・北の方、鬚黒の北の方
蛍兵部卿宮ほたるひょうぶきょうのみや 呼称---蛍兵部卿宮・親王・宮

若菜上・見出し区分

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34.1 朱雀院、女三の宮の将来を案じる
 朱雀院の帝、ありし御幸ののち、そのころほひより、例ならず悩みわたらせたまふ。、ほれぼれしき心地するを、
34.2 東宮、父朱雀院を見舞う
   春宮は、「かかる御悩みに添へて、世を背かせたまふべき御心づかひになむ」と聞かせたまひて、渡らせたまへり。
34.3 源氏の使者夕霧、朱雀院を見舞う
 六条院よりも、御訪らひしばしばあり。みづからも参りたまふべきよし、聞こし召して、院はいといたく喜びきこえさせたまふ。
34.4 夕霧、源氏の言葉を言上す
 「過ぎはべりにけむ方は、ともかくも思うたまへ分きがたくはべり。年まかり入りはべりて、
34.5  朱雀院の夕霧評
 女房などは、覗きて見きこえて、
34.6 女三の宮の乳母、源氏を推薦
 姫宮のいとうつくしげにて、若く何心なき御ありさまなるを見たてまつりたまふにも、
34.7 乳母と兄左中弁との相談
 この御後見どもの中に、重々しき御乳母の兄、左中弁なる、かの院の親しき人にて、年ごろ仕うまつるありけり。
34.8 乳母、左中弁の意見を朱雀院に言上
乳母、またことのついでに、
34.9 朱雀院、内親王の結婚を苦慮
 しか思ひたどるによりなむ。皇女たちの世づきたるありさまは、うたてあはあはしきやうにもあり、
34.10 朱雀院、婿候補者を批評
 「今すこしものをも思ひ知りたまふほどまで見過ぐさむとこそは、年ごろ念じつるを、
34.11 婿候補者たちの動静
 太政大臣も、
34.12 夕霧の心中
  権中納言も、かかることどもを聞きたまふに、
34.13 朱雀院、使者を源氏のもとに遣わす
 春宮にも、かかることども聞こし召して、
34.14 源氏、承諾の意向を示す
 この宮の御こと、かく思しわづらふさまは、さきざきも皆聞きおきたまへれば、なく、
34.15 歳末、女三の宮の裳着催す
 年も暮れぬ。朱雀院には、御心地なほおこたるさまにもおはしまさねば、よろづあわたたしく思し立ちて、
34.16 秋好中宮、櫛を贈る
 中宮よりも、御装束、櫛の筥、心ことに調ぜさせたまひて、かの昔の御髪上の具、ゆゑあるさまに改め加へて、さすがに元の心ばへも失はず、
34.17 朱雀院、出家す
 御心地いと苦しきを念じつつ、思し起こして、この御いそぎ果てぬれば、三日過ぐして、つひに御髪下ろしたまふ。
34.18 源氏、朱雀院を見舞う
 六条院も、すこし御心地よろしくと聞きたてまつらせたまひて、参りたまふ。
34.19 朱雀院と源氏、親しく語り合う
 院も、もの心細く思さるるに、え心強からず、うちしほれたまひつつ、いにしへ、今の御物語、いと弱げに聞こえさせたまひて、
34.20 内親王の結婚の必要性を説く
 御心のうちにも、さすがにゆかしき御ありさまなれば、思し過ぐしがたくて、
34.21 源氏、結婚を承諾
 「さやうに思ひ寄る事はべれど、それも難きことになむありける。
34.22 朱雀院の饗宴
夜に入りぬれば、主人の院方も、客人の上達部たちも、皆御前にて、御饗のこと、精進物にて、うるはしからず、なまめかしくせさせたまへり。
34.23 源氏、結婚承諾を煩悶す
 六条院は、なま心苦しう、さまざま思し乱る。
34.24 源氏、紫の上に打ち明ける
 またの日、雪うち降り、空のけしきもものあはれに、過ぎにし方行く先の御物語聞こえ交はしたまふ。
34.25 紫の上の心中
 心のうちにも、
34.26 玉鬘、源氏に若菜を献ず
 年も返りぬ。朱雀院には、姫宮、六条院に移ろひたまはむ御いそぎをしたまふ。
34.27 源氏、玉鬘と対面
 人びと参りなどしたまひて、御座に出でたまふとて、尚侍の君に御対面あり。
34.28 源氏、玉鬘と和歌を唱和
 尚侍の君も、いとよくねびまさり、ものものしきけさへ添ひて、見るかひあるさましたまへり。、
34.29 管弦の遊び催す
 朱雀院の御薬のこと、なほたひらぎ果てたまはぬにより、楽人などは召さず。御笛など、太政大臣の、その方は整へたまひて、
34.30 暁に玉鬘帰る
 暁に、尚侍君帰りたまふ。御贈り物などありけり。
34.31 女三の宮、六条院に降嫁
 かくて、如月の十余日に、朱雀院の姫宮、六条院へ渡りたまふ。この院にも、御心まうけ世の常ならず。
34.32 結婚の儀盛大に催さる
 三日がほど、かの院よりも、主人の院方よりも、いかめしくめづらしきみやびを尽くしたまふ。
34.33 源氏、結婚を後悔
 三日がほどは、夜離れなく渡りたまふを、年ごろさもならひたまはぬ心地に、忍ぶれど、なほものあはれなり。
34.34 紫の上、眠れぬ夜を過ごす
 年ごろ、さもやあらむと思ひしことどもも、今はとのみもて離れたまひつつ、さらばかくにこそはとうちとけゆく末に、ありありて、
34.35 六条院の女たち、紫の上に同情
 かう人のただならず言ひ思ひたるも、聞きにくしと思して、
34.36 源氏、夢に紫の上を見る
 わざとつらしとにはあらねど、かやうに思ひ乱れたまふけにや、かの御夢に見えたまひければ、うちおどろきたまひて
34.37 源氏、女三の宮と和歌を贈答
 今朝は、例のやうに大殿籠もり起きさせたまひて、宮の御方に御文たてまつれたまふ。
34.38 源氏、昼に宮の方に出向く
 今日は、宮の御方に昼渡りたまふ。
34.39 朱雀院、紫の上に手紙を贈る
 院の帝は、月のうちに御寺に移ろひたまひぬ。
34.40 源氏、朧月夜に今なお執心
 今はとて、女御、更衣たちなど、おのがじし別れたまふも、あはれなることなむ多かりける。
34.41 和泉前司に手引きを依頼
 かの人の兄なる和泉の前の守を召し寄せて、若々しく、いにしへに返りて語らひたまふ。
34.42 紫の上に虚偽を言って出かける
 「いにしへ、わりなかりし世にだに、心交はしたまはぬことにもあらざりしを。
34.43 源氏、朧月夜を訪問/
 その日は、寝殿へも渡りたまはで、御文書き交はしたまふ。
34.44 朧月夜と一夜を過ごす
 夜いたく更けゆく。玉藻に遊ぶ鴛鴦の声々など、あはれに聞こえて、しめじめと人目少なき宮の内のありさまも、
34.45 源氏、和歌を詠み交して出る
 朝ぼらけのただならぬ空に、百千鳥の声もいとうららかなり。
34.46 源氏、自邸に帰る
 いみじく忍び入りたまへる御寝くたれのさまを待ち受けて、
34.47 明石姫君、懐妊して退出
 桐壺の御方は、うちはへえまかでたまはず。御暇のありがたければ、心安くならひたまへる若き御心に、いと苦しくのみ思したり。
34.48 紫の上、女三の宮に挨拶を申し出る
 対の上、こなたに渡りて対面したまふついでに、
34.49 紫の上の手習い歌
 対には、かく出で立ちなどしたまふものから、
34.50 紫の上、女三の宮と対面
 春宮の御方は、実の母君よりも、この御方をば睦ましきものに頼みきこえたまへり。
34.51 世間の噂、静まる
 さて後は、常に御文通ひなどして、をかしき遊びわざなどにつけても、疎からず聞こえ交はしたまふ。
34.52 紫の上、薬師仏供養
 神無月に、対の上、院の御賀に、嵯峨野の御堂にて、薬師仏供養じたてまつりたまふ。
34.53 精進落としの宴
 二十三日を御としみの日にて、この院は、かく隙間なく集ひたまへるうちに、
34.54 舞楽を演奏す
 未の時ばかりに楽人参る。「万歳楽」、「皇じやう」など舞ひて、日暮れかかるほどに、高麗の乱声して、
34.55 宴の後の寂寥
 夜に入りて、楽人どもまかり出づ。北の政所の別当ども、人びと率ゐて、禄の唐櫃に寄りて、
34.56 秋好中宮の奈良・京の御寺に祈祷
 師走の二十日余りのほどに、中宮まかでさせたまひて、今年の残りの御祈りに、奈良の京の七大寺に、御誦経、布四千反、この近き都の四十寺に、絹四百疋を分かちてせさせたまふ。
34.57 中宮主催の饗宴
 宮のおはします町の寝殿に、御しつらひなどして、さきざきにこと変はらず、上達部の禄など、大饗になずらへて、まふ。
34.58 勅命による夕霧の饗宴
 内裏には、思し初めてしことどもを、むげにやはとて、中納言にぞつけさせたまひてける。
34.59 舞楽を演奏す
 内裏には、思し初めてしことどもを、むげにやはとて、中納言にぞつけさせたまひてける。
34.60 饗宴の後の感懐
 大将の、ただ一所おはするを、さうざうしく栄なき心地せしかど、あまたの人にすぐれ、おぼえことに、
34.61 明石女御、産期近づく
 年返りぬ。桐壺の御方近づきたまひぬるにより、正月朔日より、御修法不断にせさせたまふ。
34.62 大尼君、孫の女御に昔を語る
 かの大尼君も、今はこよなきほけ人にてぞありけむかし。
34.63 明石御方、母尼君をたしなめる
 いとものあはれに眺めておはするに、御方参りたまひて、日中の御加持に、こなたかなたより参り集ひ、
34.64 明石女三代の和歌唱和
 御加持果ててまかでぬるに、御くだものなど近くまかなひなし、「こればかりをだに」と、いと心苦しげに思ひて聞こえたまふ。
34.65 三月十日過ぎに男御子誕生
 弥生の十余日のほどに、平らかに生まれたまひぬ。かねてはおどろおどろしく思し騷ぎしかど、
34.66  帝の七夜の産養
 六日といふに、例の御殿に渡りたまひぬ。七日の夜、内裏よりも御産養のことあり。
34.67 紫の上と明石御方の仲
 御方の御心おきての、らうらうじく気高く、おほどかなるものの、さるべき方には卑下して、憎らかにもうけばらぬなどを、褒めぬ人なし。
34.68 明石入道、手紙を贈る
 かの明石にも、かかる御こと伝へ聞きて、さる聖心地にも、いとうれしくおぼえければ、
34.69 入道の手紙
 「この年ごろは、同じ世の中のうちにめぐらひはべりつれど、何かは、かくながら身を変へたるやうに思うたまへなしつつ、させることなき限りは、聞こえうけたまはらず。
34.70 手紙の追伸
 「命終らむ月日も、さらにな知ろしめしそ。
34.71 使者の話
 尼君、この文を見て、かの使ひの大徳に問へば、
34.72 明石御方、手紙を見る
  御方は、南の御殿におはするを、「かかる御消息なむある」とありければ、忍びて渡りたまへり。
34.73  尼君と御方の感懐
 尼君、久しくためらひて、
34.74 御方、部屋に戻る
 「昨日も、大殿の君の、あなたにありと見置きたまひてしを、
34.75 東宮からのお召しの催促
 宮より、とく参りたまふべきよしのみあれば、
34.76 明石女御、手紙を見る
  対の上などの渡りたまひぬる夕つ方、しめやかなるに、
34.77 源氏、女御の部屋に来る
 院は、姫宮の御方におはしけるを、中の御障子よりふと渡りたまへれば、えしも引き隠さで、
34.78 源氏、手紙を見る
 ありつる箱も、惑ひ隠さむもさま悪しければ、さておはするを、
34.79 源氏の感想
 「年の積もりに、世の中のありさまを、とかく思ひ知りゆくままに、
34.80 源氏、紫の上の恩を説く
 「これは、また具してたてまつるべきものはべり
34.82 明石御方、宿世を思う
 「さも、いとやむごとなき御心ざしのみまさるめるかな。
34.83 夕霧の女三の宮への思い
 大将の君は、この姫宮の御ことを、思ひ及ばぬにしもあらざりしかば、目に近くおはしますを、
34.84 夕霧、女三の宮を他の女性と比較
 かやうのことを、大将の君も、
34.85 柏木、女三の宮に執心
 衛門督の君も、院に常に参り、親しくさぶらひ馴れたまひし人なれば、
34.86 柏木ら東町に集い遊ぶ
 弥生ばかりの空うららかなる日、六条の院に、兵部卿宮、衛門督など参りたまへり。
34.87 南町で蹴鞠を催す
 やうやう暮れかかるに、「風吹かず、かしこき日なり」と興じて、
34.88 女三の宮たちも見物す
 いと労ある心ばへども見えて、数多くなりゆくに、上臈も乱れて、冠の額すこしくつろぎたり。
34.89 唐猫、御簾を引き開ける
 御几帳どもしどけなく引きやりつつ、人気近く世づきてぞ見ゆるに、唐猫のいと小さくをかしげなるを、
34.90 柏木、女三の宮を垣間見る
 几帳の際すこし入りたるほどに、袿姿にて立ちたまへる人あり。
34.91 夕霧、事態を憂慮す
 大将、いとかたはらいたけれど、はひ寄らむもなかなかいと軽々しければ、
34.92 蹴鞠の後の酒宴
 大殿御覧じおこせて、
34.93 源氏の昔語り
 院は、昔物語し出でたまひて、
34.94 柏木と夕霧、同車して帰る
 大将の君一つ車にて、道のほど物語したまふ。
34.95 柏木、小侍従に手紙を送る
 督の君は、なほ大殿の東の対に、独り住みにてぞものしたまひける。
34.96 女三の宮、柏木の手紙を見る
 御前に人しげからぬほどなれば、かの文を持て参りて、

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただし章分けは省略しました。氏の驚くべき労作に感謝します。

公開日2020年3月2日