源氏物語  夕霧 あらすじ 章立て 登場人物

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夕霧 あらすじ

光る源氏の准太上天皇時代五十歳秋から冬までの物語

夕霧は、柏木の親友として、後の面倒を見ようとしている。朱雀院の子の女二の宮と、御息所が残された。御息所は病がちで、修行僧が山を下りやすく、祈祷に便利なように、二の宮ととに小野の山荘に移った。夕霧は二の宮の後見人のように思って、二人を訪問するのだった。また御息所に承認をもらおうとも思っていた。病の中で、御息所は夕霧に後見を託そうと心迷う時があり、一度その種の返事をした。
御息所は、あっけなく亡くなった。
落葉の宮は喪中で無理を通そうとして迫る夕霧を嫌がって、塗籠に籠ってしまうのだった。
日を改めて、夕霧は訪問し、女房の出入り口から塗籠に入り、思いを遂げ、契りをはたすのだった。
雲居の雁は、嫉妬に駆られ、実家に帰ってしまった。

夕霧 章分け

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39.1 一条御息所と落葉宮、小野山荘に移る
 まめ人の名をとりて、さかしがりたまふ大将、この一条の宮の御ありさまを、
39.2 八月二十日頃、夕霧、小野山荘を訪問
 八月中の十日ばかりなれば、野辺のけしきもをかしきころなるに、山里のありさまのいとゆかしければ、
39.3 夕霧、落葉宮に面談を申し入れる
 宮は、奥の方にいと忍びておはしませど、ことことしからぬ旅の御しつらひ、浅きやうなる御座のほどにて、
39.4 夕霧、山荘に一晩逗留を決意
 日入り方になり行くに、空のけしきもあはれに霧りわたりて、山の蔭は小暗き心地するに、ひぐらしの鳴きしきりて、
39.5 夕霧、落葉宮の部屋に忍び込む
 さて、  「道いとたどたどしければ、このわたりに宿借りはべる。同じうは、この御簾のもとに許されあらなむ。
39.6 夕霧、落葉宮をかき口説く
聞き入れたまふべくもあらず、悔しう、かくまでと思すことのみ、やる方なければ、のたまはむことはたましておぼえたまはず。
39.7 迫りながらも明け方近くなる
 風いと心細う、更けゆく夜のけしき、虫の音も、鹿の鳴く音も、滝の音も、一つに乱れて、艶あるほどなれど、
39.8  夕霧、和歌を詠み交わして帰る
月隈なう澄みわたりて、霧にも紛れずさし入りたり。浅はかなる廂の軒は、ほどもなき心地すれば、
39.9 夕霧の後朝の文
 かやうの歩き、慣らひたまはぬ心地に、をかしうも心尽くしにもおぼえつつ、殿におはせば、女君の、
39.10 律師、御息所に告げ口
 もののけにわづらひたまふ人は、重しと見れど、さはやぎたまふ隙もありてなむ、ものおぼえたまふ。
39.11 御息所、小少将君に問い質す
 律師立ちぬる後に、小少将の君を召して、
39.12 落葉宮、母御息所のもとに参る
 渡りたまはむとて、御額髪の濡れまろがれたる、ひきつくろひ、単衣の御衣ほころびたる、着替へなどしたまひても、
39.13 御息所の嘆き
 苦しき御心地にも、なのめならずかしこまりかしづききこえたまふ。
39.14 御息所、夕霧に返書
 かしこよりまた御文あり。心知らぬ人しも取り入れて、
39.15 雲居雁、手紙を奪う
 大将殿は、この昼つ方、三条殿におはしにける、今宵立ち返り参でたまはむに、
39.16 手紙を見ぬまま朝になる
 とかく言ひしろひて、この御文はひき隠したまひつれば、せめても漁り取らで、つれなく大殿籠もりぬれば、
39.17 夕霧、手紙を見る
 ひぐらしの声におどろきて、「山の蔭いかに霧りふたがりぬらむ。あさましや。今日この御返事をだに」と、いとほしうて、
39.18 御息所の嘆き
 かしこには、昨夜もつれなく見えたまひし御けしきを、忍びあへで、後の聞こえをもつつみあへず恨みきこえたまうしを、
39.19 御息所死去す
  いとわりなくおしこめてのたまふを、あらがひはるけむ言の葉もなくて、ただうち泣きたまへるさま、おほどかにらうたげなり。
39.20 朱雀院の弔問の手紙
 所々の御弔ひ、いつの間にかと見ゆ。
39.21 夕霧の弔問
 ほどさへ遠くて、入りたまふほど、いと心すごし。
39.22 御息所の葬儀
 今宵しもあらじと思ひつる事どものしたため、いとほどなく際々しきを、いとあへなしと思いて、
39.23 夕霧、返事を得られず
 山下ろしいとはげしう、木の葉の隠ろへなくなりて、よろづの事いといみじきほどなれば、おほかたの空にもよほされて、
39.24 雲居雁の嘆きの歌
 女君、なほこの御仲のけしきを、
39.25 九月十日過ぎ、小野山荘を訪問
 九月十余日、野山のけしきは、深く見知らぬ人だに、ただにやはおぼゆる。
39.26 板ばさみの小少将君
 この人も、ましていみじう泣き入りつつ、
39.27 /夕霧、一条宮邸の側を通って帰宅
 道すがらも、あはれなる空を眺めて、十三日の月のいとはなやかにさし出でぬれば、
39.28 落葉宮の返歌が届く
 日たけてぞ持て参れる。紫のこまやかなる紙すくよかにて、小少将ぞ、
39.29 源氏や紫の上らの心配
 六条院にも聞こし召して、いとおとなしうよろづを思ひしづめ、
39.30 夕霧、源氏に対面
 大将の君、参りたまへるついでありて、思ひたまへらむけしきもゆかしければ、
39.31 父朱雀院、出家希望を諌める
 かくて御法事に、よろづとりもちてせさせたまふ。
39.32 夕霧、宮の帰邸を差配
 大将も、 「とかく言ひなしつるも、今はあいなし。かの御心に許したまはむことは、難げなめり。
39.33 落葉宮、自邸へ向かう
 集りて聞こえこしらふるに、いとわりなく、あざやかなる御衣ども、人びとのたてまつり替へさするも、
39.34 夕霧、主人顔して待ち構える
 おはしまし着きたれば、殿のうち悲しげもなく、人気多くて、あらぬさまなり。
39.35 落葉宮、塗籠に籠る
 かく心ごはけれど、今は、堰かれたまふべきならねば、やがてこの人をひき立てて、推し量りに入りたまふ。
39.36 夕霧、花散里へ弁明
 六条の院にぞおはして、やすらひたまふ。東の上、
39.37 雲居雁、嫉妬に荒れ狂う
 日たけて、殿には渡りたまへり。入りたまふより、若君たち、すぎすぎうつくしげにて、まつはれ遊びたまふ。
39.38 雲居雁、夕霧と和歌を詠み交す
 昨日今日つゆも参らざりけるもの、いささか参りなどしておはす。
39.39 塗籠の落葉宮を口説く
 かしこには、なほさし籠もりたまへるを、人びと、
39.40 夕霧、塗籠に入って行く
 「さりとて、かくのみやは。人の聞き漏らさむこともことわり」と、はしたなう、ここの人目もおぼえたまへば、
39.41 夕霧と落葉宮、遂に契りを結ぶ
 /かうのみ痴れがましうて出で入らむもあやしければ、今日は泊りて、
39.42 雲居雁、実家へ帰る
 かくせめても見馴れ顔に作りたまふほど、三条殿、
39.43 夕霧、雲居雁の実家へ行く
 寝殿になむおはするとて、例の渡りたまふ方は、御達のみさぶらふ。
39.44 蔵人少将、落葉宮邸へ使者
 大臣、かかることを聞きたまひて、人笑はれなるやうに思し嘆く。
39.45 藤典侍、雲居雁を慰める
 いとどしく心よからぬ御けしき、あくがれ惑ひたまふほど、大殿の君は、

夕霧 登場人物

名称よみかた役柄と他の呼称
光る源氏ひかるげんじ呼称----六条の院・院、五十歳
朱雀院すざくいん呼称---山の帝・院、源氏の兄
女三の宮おんなさんのみや呼称---入道の姫宮・宮、源氏の正妻
夕霧ゆうぎり呼称---大将の君・大将・男君・君、源氏の長男
雲居雁くもいのかり呼称---北の方・三条殿・三条の姫君・三条の君・大殿の君・女君・母君・上、夕霧大将の北の方
落葉宮おちばのみや呼称---一条の宮・宮・女、朱雀院の女二の宮
一条御息所いちじょうのみやすどころ呼称---御息所・上・故御息所・故上・亡き人、朱雀院更衣、落葉宮の母

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。

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源氏物語  横笛 あらすじ 章立て 登場人物

公開日2023年7月29日