源氏物語  夢浮橋 あらすじ 章立て 登場人物

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夢浮橋 あらすじ

薫君の大納言時代二十八歳の夏の物語

薫は、叡山の根本中堂に経仏を供養して、その足で横川に寄り、僧都にあって、直に浮舟の発見された様子やz出家に至った経緯を、直接僧都の口から聞くのだった。僧都は薫の気配を察して、出家させたことを後悔するのだった。薫は僧都に小野の山荘に案内してくれるよう頼んだが、僧都は 僧都はそれをやんわり断り、代わりに、浮舟に文を送って薫が来たことを知らせ、その中で還俗げんぞくを勧めるのだった。
薫は弟の小君を使いに出して、文を持たせたが、浮舟は小君に逢おうともしなかった。
小君は会うこともできず、空しく帰るのだった。
源氏物語はここで終わる。しりきれとんぼの感がする。

夢浮橋 章立て

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54.1 薫、横川に出向く
 山におはして、例せさせたまふやうに、経仏など供養ぜさせたまふ。
54.2 僧都、薫に宇治での出来事を語る
 僧都、「さればよ。ただ人と見えざりし人のさまぞかし。
54.3 薫、僧都に浮舟との面会を依頼
 「さてこそあなれ」と、ほの聞きて、かくまでも問ひ出でたまへることなれど、「むげに亡き人と思ひ果てにし人を、さは、まことにあるにこそは」と思す、ほど、夢の心地してあさましければ、つつみもあへず涙ぐまれたまひぬるを、僧都の恥づかしげなるに、「かくまで見ゆべきことかは」と思ひ返して、つれなくもてなしたまへど、「かく思しけることを、この世には亡き人と同じやうになしたること」と、過ちしたる心地して、罪深ければ、 「悪しきものに領ぜられたまひけむも、さるべき前の世の契りなり。思ふに、高き家の子にこそものしたまひけめ、いかなる誤りにて、かくまではふれたまひけむにか」 と、問ひ申したまへば、 「なま王家流わかむどおりなどいふべき筋にやありけむ。
54.4 僧都、浮舟への手紙を書く
 かの御弟の童、御供に率ておはしたりけり。
54.5 浮舟、薫らの帰りを見る
 小野には、いと深く茂りたる青葉の山に向かひて、紛るることなく、遣水の蛍ばかりを、昔おぼゆる慰めにて眺めゐたまへるに、例の、遥かに見やらるる谷の軒端より、前駆心ことに追ひて、いと多う灯したる火の、のどかならぬ光を見るとて、尼君たちも端に出でゐたり。
54.6 薫、浮舟のもとに小君を遣わす
 かの殿は、「この子をやがてやらむ」と思しけれど、人目多くて便なければ、殿に帰りたまひて、またの日、ことさらにぞ出だし立てたまふ。
54.7 小君、小野山荘の浮舟を訪問
 あやしけれど、「これこそは、さは、確かなる御消息ならめ」とて、 「こなたに」 と言はせたれば、いときよげにしなやかなる童の、えならず装束きたるぞ、歩み来たる。円座わらふださし出でたれば、簾のもとについゐて、 「かやうにては、さぶらふまじくこそは、僧都は、のたまひしか」 と言へば、尼君ぞ、いらへなどしたまふ。文取り入れて見れば、 「入道の姫君の御方に、山より」 とて、名書きたまへり。
54.8 浮舟、小君との面会を拒む
 まがふべくもあらず、書き明らめたまへれど、異人は心も得ず。
54.9 小君、薫からの手紙を渡す
 この子も、さは聞きつれど、幼ければ、ふと言ひ寄らむもつつましけれど、 「またはべる御文、いかでたてまつらむ。僧都の御しるべは、確かなるを、かくおぼつかなくはべるこそ」 と、伏目にて言へば、 「そそや。
54.10 浮舟、薫への返事を拒む
 かくつぶつぶと書きたまへるさまの、紛らはさむ方なきに、さりとて、その人にもあらぬさまを、思ひの外に見つけられきこえたらむほどの、はしたなさなどを思ひ乱れて、いとど晴れ晴れしからぬ心は、言ひやるべき方もなし。
54.11 小君、空しく帰り来る
 所につけてをかしき饗応などしたれど、幼き心地は、そこはかとなくあわてたる心地して、 「わざと奉れさせたまへるしるしに、何事をかは聞こえさせむとすらむ。ただ一言をのたまはせよかし」 など言へば、 「げに」 など言ひて、かくなむ、と移し語れど、ものものたまはねば、かひなくて、 「ただ、かく、おぼつかなき御ありさまを聞こえさせたまふべきなめり。

夢浮橋 登場人物

 
名称よみかた役柄と他の呼称
かおる 呼称---大将殿・殿、源氏の子
女一の宮おんないちのみや 呼称---一品の宮、今上帝の第一内親王
浮舟うきふね 呼称---入道の姫君・姫君、八の宮の三女
中将の君ちゅうじょうのきみ 呼称---親・母、浮舟の母
小君こぎみ 呼称---小君・御弟の童・童、浮舟の異父弟
母尼ははのあま 呼称---朽尼、横川僧都の母母
横川僧都よかわのそうず 呼称---僧都
妹尼いもうとのあま 呼称---故衛門督の北の方・尼君・妹・主人、横川僧都の妹

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。

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源氏物語  夢浮橋 あらすじ 章立て 登場人物

公開日2021年4月21日/ 改定2023年11月18日