今月の言葉抄  2006年4月

英語の学習 I will〜 と I am going to〜

自分の「これからする」つもりのことを表す "I will〜" と "I am going to 〜" という二つの言い方は、英語としては比較的 はっきりした使い分けがあるが、それがよく分からない、という日本人は多い。たしかに、これからすることには単純未来の 助動詞 will がぴったりのようであり、現在進行形の be going to は、変則的に見えてピンとこない、と感じるのも無理はないと 思うのだが、be going to にも、ちゃんとした理屈が働いている。
簡単に言えば、" I will〜 " と" I am going to〜 " との使い分けは、こうである。もし、
I don't know what to do. I think I'm still being followed by that stalker. (どうすればいいのか分からない。まだあのストーカーに付きまとわれているみたい。)
と相談をもちかけられたひとが、
Don't worry. I'll talk to a detective friend of mine today. (心配しなくていい。今日、友人の刑事に話すから。)
と応じたら、その人は悩みを聞いたこの場で「刑事に話す」ことに決めた、という意味になる。 これに対して、
Don't worry. I'm going to talk to a detective friend of mine today. (心配しなくていい、今日、友人の刑事に話す[ことになっている]から。)
と応じたら、その悩みを聞く前からもうすでに「刑事に話す」ことを予定していた、という意味になる のである。
別の角度から説明すると、will do は、単に「これから何かをする」という事実を表すが、いつからそれをすることにしたのかは 問題ではない、という印象を与える。それに対して、be going to は、「もう予定に入っているといった感じの状態をはっきり 表すのである。逆に言えば、行動自体はこれからだが、現在はもう「することになってからの”流れ”の中で動いている」わけだから、 現在進行形の be going to がぴったりなのである。
というわけで、先のシチュエーションでは、もし「今日、刑事に話す」ことを前から予定していたのなら、普通、I am going to talk to a detective などと言って、その点を明らかにする。もしI'll talk to a detective と言ったら、いかにも「よし、 分かった。じゃ、刑事に話してあげるよ」と、その場で決めたという印象を与えるのである。
だから、たとえば、もう12月28日になっているのに、
I'll go to Sicily for the New Year's holidays!(正月休みは、 シチリアに行くわ!)
といきなり言ったら、「えっ?いまさら予約なんて取れないんじゃない?」 と変な顔をされるかもしれないが、
I'm going to Sicily for the New Year's holidays!
と言ったら、「いいなァ、何日の出発?」と訊かれるだけである。
あるいは、会社で、
And also, you'd better get your reservation made as soon as possible. (それにさ、[出張先の]ホテルをなるべく早めに予約しておいた方がいいよ。)
と忠告されたとする。本当はそれに対して、
I know that much. I'm going to do that just as soon as the dates of the trip are set for sure.(そのくらいのことは分かっていますよ。日にちが確実に決まり次第、すぐにするつもり ですよ。)
と応じたいところなのだが、実際問題、
Right. I'll do that just as soon as the dates of the trip are firmly fixed. (分かりました。日にちが確実に決まったところで、すぐにそうします。)
と、「前からそのつもりでいた」ことをあえて表現しない方が賢明だ、といったケースもある。 要するに、will do と going to do では、その表現を支えている「意識」がそれぞれ違っており、日本語にたとえてみれば、この 「[前から]分かっていますよ」と「[今]分かりました」という二つの日本語が表しているそれぞれの意識の違いにきわめて近い のである。
むろんさまざまな微妙なニュアンスを表す数多くのヴァリエーション、とりわけ、
I'll be in Sicily during the New Year's holidays.
I'm going to be in Sicily during the New Year's holidays.(いずれも「正月休み中、シチリアにいる。」)
のような「be 動詞」が使われるヴァリエーションとなると、微妙に重なるケースがあるかもしれない。 しかしもっとも基本的なレベルでは、be going to は、現在進行形であるだけに、もうすることになっているという意識を はっきり表し、will は、そうした意識を表さない、という理屈で、この二つの表現が一般に使い分けられているのである。
「これからすること」を表すには、この他にも、ただの現在進行形の be 〜ing、たとえば、
I'm meeting her tomorrow.(彼女に明日会うことになっている。)
という言い方もあるが、こうした表現は、先の be going to 〜の「もうその状態に入っている」 といった感じが一段と強くなっただけであり、とりたててそれ以外の使い分けはない。
(「1 英語の発想」か ら)
『心にとどく英語』(岩波新書)マーク・ピーターセン著
更新2006年4月20日