『パンセ』を読む

第一章 精神と文体とに関する思想

14
自然な談話が、ある情念や現実を描くとき、人は自分が聞いていることの真実を自分自身のなかに 発見する。それが自分のなかにあったなどとは知らなかった真実をである。その結果、それをわれわれに 感じさせてくれる人を愛するようになる。なぜなら、その人は彼自身の持ちものを見せつけたのではなく、 われわれのものを見せてくれたのだからである。このようにして、われわれと彼とのあいだの知的一致が、 われわれの心を彼を愛するようにと必然的に傾けるばかりでなく、この恩恵がわれわれに彼を好ましく させるのである。

頁をめくる
次頁
頁をめくる
前頁
公開日2008年1月15日