『パンセ』を読む

第七章 道徳と教義

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もしすべてのものの唯一の本源があり、すべてのものの唯一の目的があるならば、— すべてのものはそれにより、 そべてのものはそのためにある — したがって、真の宗教はわれわれにそれのみを崇め、それのみを愛すべきことを 教えなければならない。しかし、われわれは自分の知らないものを崇めることも、自分以外のものを愛することもできない のであるから、これらの義務を教える宗教は、これらの無力をも教え、その教治法をも示してくれるはずである。それは 一人の人によって、すべてが失われ、神とわれわれとのつながりが破壊されたことと、一人の人によって、そのつながりが 回復されたことを、われわれに教える。
われわれは生まれつき神の愛に全くそむいており、しかも神の愛は絶対に必要なのであるから、われわれが生まれつき 罪があるのでなければ、神が不正であるということになろう。

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公開日2008年5月5日