金沢にて

何もしてやれなかった娘に
九谷焼のネックレスを買おうと
— なぜ九谷焼のネックレスなのか
久しぶりに金沢にやってきた

香林坊を歩いていて
あなたとデートしたことを思った
あの時は犀川大橋を渡って
片町から香林坊の方へ二人して歩いていった
どこに行こうとしていたのだろう
それはあなたがいちばん美しかった頃
あなたは楽しそうだった

あれから五十余年
あなたは
まだ生きているか
あなたには
どんな人生だったか

聞こえてるか
— いつかまたこの場所で君とめぐり会いたい

平成三十年八月
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