源氏物語  澪標 あらすじ 章立て 登場人物

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澪標 あらすじ

源氏28~29才
明石から帰京後、源氏は父桐壷院の法要を催し、孝養を尽くした。翌年2月、病がちであった朱雀帝は退位し、冷泉院が無事即位した。ここで右大臣一派の勢力は退潮する。源氏は内大臣になり、致仕の大臣は摂政太政大臣になり、すべて復権を果たした。
明石では、明石の君に姫君が生まれた。さっそく源氏は、宣旨の娘を説得して乳母として手配した。宿曜すくようの占いは、

御子三人、みかどきさきかならず並びて生まれたまふべし。中の劣りは、太政大臣にて位を極むべし
すべて当たっていると思う。この時点で明石の幼子が后になる道筋がみえていたのだろう。夕霧の太政大臣就任は物語には書かれていない。
源氏が住吉神社に願果たしにお詣りに行くと、たまたま明石の君が例年の通り、住吉参りに行って、源氏一行とかち合った。源氏一行の圧倒的盛儀に気圧されて、あまりに身分の違いを思い知るのであった。源氏はそれに気づいて、明石の上に和歌を送る。
六条御息所は斎宮退下により帰京し、病のため出家する。やがて、源氏に斎宮のことを託して亡くなる。源氏は斎宮を養女にして冷泉院の後宮に入れようと画策する。朱雀院も斎宮の美しさにご執心だったが、源氏は藤壺の賛同を得て、入内させようとする。藤壺の兄であり、紫の上の父である兵部卿の宮も入内させるべく娘を大切に育てていたが、はからずも冷泉帝の後宮に入れる争いになった。兵部卿の宮は、源氏が須磨退去の時、右大臣一派に気をつかって、見舞いに来なかったので、かっては一緒に遊んだ仲であったが、源氏は快く思っていない。

澪標 章立て

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14.1 故桐壺院の追善法華御八講
さやかに見えたまひし夢の後は、院の帝の御ことを心にかけきこえたまひて、「いかで、かの沈みたまふらむ罪、救ひたてまつることをせむ」と、思し嘆きけるを、かく帰りたまひては、その御急ぎしたまふ。神無月に御八講したまふ。
14.2 朱雀帝と源氏の朧月夜尚侍をめぐる確執
下りゐなむの御心づかひ近くなりぬるにも、尚侍、心細げに世を思ひ嘆きたまひつる、いとあはれに思されけり。
14.3 東宮の御元服と御世替わり
明くる年の如月に、春宮の御元服のことあり。十一になりたまへど、ほどより大きに、おとなしうきよらにて、ただ源氏の大納言の御顔を二つに写したらむやうに見えたまふ。いとまばゆきまで光りあひたまへるを、世人めでたきものに聞こゆれど、母宮、いみじうかたはらいたきことに、あいなく御心を尽くしたまふ。
14.4 宿曜の予言と姫君誕生
まことや、「かの明石に、心苦しげなりしことはいかに」と、思し忘るる時なければ、公、私いそがしき紛れに、え思すままにも訪ひたまはざりけるを、三月朔日のほど、「このころや」と思しやるに、人知れずあはれにて、御使ありけり。とく帰り参りて、 「十六日になむ。女にて、たひらかにものしたまふ」 と告げきこゆ。めづらしきさまにてさへあなるを思すに、おろかならず。「などて、京に迎へて、かかることをもせさせざりけむ」と、口惜しう思さる。
14.5 宣旨の娘を乳母に選定
さる所に、はかばかしき人しもありがたからむを思して、故院にさぶらひし宣旨せんじの娘、宮内卿の宰相にて亡くなりにし人の子なりしを、母なども亡せて、かすかなる世に経けるが、はかなきさまにて子産みたりと、聞こしめしつけたるを、知る便りありて、ことのついでにまねびきこえける人召して、さるべきさまにのたまひ契る。
14.6 乳母、明石へ出発
車にてぞ京のほどは行き離れける。
14.7 紫の君に姫君誕生を語る
* 女君には、言ことにあらはしてをさをさ聞こえたまはぬを、聞きあはせたまふこともこそ、と思して、 「さこそあなれ。
14.8 姫君の五十日の祝
「五月五日にぞ、五十日には当たるらむ」と、人知れず数へたまひて、ゆかしうあはれに思しやる。「何ごとも、いかにかひあるさまにもてなし、うれしからまし。口惜しのわざや。
14.9 紫の君、嫉妬を覚える
うち返し見たまひつつ、「あはれ」と、長やかにひとりごちたまふを、女君、しり目に見おこせて、 「浦よりをちに漕ぐ舟の」 と、忍びやかにひとりごち、眺めたまふを、 「まことは、かくまでとりなしたまふよ。
14.10 花散里訪問
かく、この御心とりたまふほどに、花散里などを離れ果てたまひぬるこそ、いとほしけれ。
14.11 筑紫の五節と朧月夜尚侍
かやうのついでにも、五節ごせちを思し忘れず、「また見てしがな」と、心にかけたまへれど、いとかたきことにて、え紛れたまはず。
14.12 旧後宮の女性たちの動向
院はのどやかに思しなりて、時々につけて、をかしき御遊びなど、好ましげにておはします。
14.13 冷泉帝後宮の入内争い
兵部卿親王、 年ごろの御心ばへのつらく思はずにて、ただ世の聞こえをのみ思し憚りたまひしことを、大臣は憂きものに思しおきて、昔のやうにもむつびきこえたまはず。
14.14 住吉詣で
その秋、住吉に詣でたまふ。
14.15 住吉社頭の盛儀
松原の深緑なるに、花紅葉をこき散らしたると見ゆる表うえの衣の、濃き薄き、数知らず。
14.16 源氏、惟光と住吉の神徳を感ず
君は、夢にも知りたまはず、夜一夜、いろいろのことをせさせたまふ。
14.17 源氏、明石の君に和歌を贈る
かの明石の舟、この響きに圧されて、過ぎぬることも聞こゆれば、「知らざりけるよ」と、あはれに思す。神の御しるべを思し出づるも、おろかならねば、「いささかなる消息をだにして、心慰めばや。なかなかに思ふらむかし」と思す。
14.18 明石の君、翌日住吉に詣でる
かの人は、過ぐしきこえて、またの日ぞ吉ろしかりければ、御幣みてぐらたてまつる。
14.19 斎宮と母御息所上京
まことや、かの斎宮も替はりたまひにしかば、御息所上りたまひてのち、変はらぬさまに何ごとも訪らひきこえたまふことは、ありがたきまで、情けを尽くしたまへど、「昔だにつれなかりし御心ばへの、なかなかならむ名残は見じ」と、思ひ放ちたまへれば、渡りたまひなどすることはことになし。
14.20 御息所、斎宮を源氏に託す
かくまでも思しとどめたりけるを、女も、よろづにあはれに思して、斎宮の御ことをぞ聞こえたまふ。
14.21 六条御息所、死去
七、八日ありて亡せたまひにけり。
14.22 斎宮を養女とし、入内を計画
下りたまひしほどより、 なほあらず思したりしを、 「今は心にかけて、ともかくも聞こえ寄りぬべきぞかし」と思すには、例の、引き返し、 「いとほしくこそ。故御息所の、いとうしろめたげに心おきたまひしを。
14.23 朱雀院と源氏の斎宮をめぐる確執
院にも、かの下りたまひし大極殿のいつかしかりし儀式に、ゆゆしきまで見えたまひし御容貌を、忘れがたう思しおきければ、 「参りたまひて、斎院など、御はらからの宮々おはしますたぐひにて、さぶらひたまへ」 と、御息所にも聞こえたまひき。
14.24 冷泉帝後宮の入内争い
入道の宮、兵部卿宮の、姫君をいつしかとかしづき騷ぎたまふめるを、「大臣の隙ある仲にて、いかがもてなしたまはむ」と、心苦しく思す。

澪標登場人物

光る源氏の28~29歳冬まで内大臣時代の物語

  • 光る源氏  ひかるげんじ  二十八歳から二十九歳 ····· (呼称)源氏の君・源氏の大納言・源氏の大殿・大殿・大殿の君・内大臣殿・君
  • 頭中将 とうのちゅうじょう 故葵の上の兄  ·····(呼称) 宰相中将・権中納言
  • >桐壺院 きりつぼのいん 光る源氏の父 ····· (呼称)院・故院・院の帝・主上
  • 朱雀院 すざくいん  光る源氏の兄 ····· (呼称)主上・帝・院・主上・内裏
  • 冷泉帝 れいぜいてい 光る源氏の弟(建前・藤壺との不義の子) ····· (呼称)春宮・当代・主上・内裏
  • 弘徽殿大后 こうきでんのおおぎさき 朱雀帝の母后 ····· (呼称)大后・大宮
  • 藤壺の宮 ふじつぼのみや 冷泉帝の母 ····· (呼称)母宮・入道后宮
  • 朧月夜君 おぼろづきよのきみ 朱雀帝の妻 ····· (呼称)内侍の君・尚侍の君・督の君・女君
  • 花散里 はなちるさと 光る源氏の愛人 ····· (呼称)花散里
  • 紫の上 むらさきのうえ 光る源氏の妻 ····· (呼称)女君
  • 明石の君 あかしのきみ 明石入道の娘 ····· (呼称)明石・子持ちの君・明石の人・女君
  • 明石の姫君 あかしのひめぎみ 源氏の娘 ····· (呼称)稚児・若君
  • 宣旨の娘 せんじのむすめ 明石の姫君の乳母 ····· (呼称)宣旨の娘
  • 六条御息所 ろくじょうみやすどころ 源氏の愛人 ····· (呼称)御息所・故御息所・母御息所
  • 齋宮 さいぐう 六条御息所の娘 ····· (呼称)宮
  • 弘徽殿女御 こうきでんのにょうご 頭中将の娘 ····· (呼称)御女・姫君
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    ※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただし章分けは省略しました。氏の驚くべき労作に感謝します。

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    公開日2018年8月1日/ 改定2023年3月8日