源氏物語 薄雲 あらすじ 章分け 登場人物

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薄雲 あらすじ

源氏 31~32才
源氏は、姫君の将来を思って、姫君を二条院に引き取り、紫の上に預けて養育することになった。幼子と明石の君の悲しい別れがあった。紫の上はたいそう可愛がって育てた。
源氏の舅の太政大臣(左大臣)が亡くなり、母后の藤壺入道も37才の厄年で亡くなる。朝顔の君の父の式部卿の宮も亡くなった。
帝は、藤壺の宮家に古くから仕える夜居よいの僧から、源氏が実の父であることを知る。しきりに続く天変は、父源氏への礼を尽くしていないことが原因と思い、帝位を源氏に譲ろうとするが、源氏は硬く固辞する。秋の司召で太政大臣への推挙も固辞する。
故六条御息所の娘の女御(元斎宮)が二条院に里下がりすると、源氏の好色がまた頭をもたげるのだった。

薄雲 章分け

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19.1 明石、姫君の養女問題に苦慮する
冬になりゆくままに、川づらの住まひ、いとど心細さまさりて、うはの空なる心地のみしつつ明かし暮らすを、君も、 「なほ、かくては、え過ぐさじ。かの、近き所に思ひ立ちね」 と、すすめたまへど、「つらき所多く心見果てむも、残りなき心地すべきを、いかに言ひてか」などいふやうに思ひ乱れたり。
19.2 尼君、姫君を養女に出すことを勧める
尼君、思ひやり深き人にて、 「あぢきなし。
19.3 明石と乳母、和歌を唱和
雪、霰がちに、心細さまさりて、「あやしくさまざまに、もの思ふべかりける身かな」と、うち嘆きて、常よりもこの君を撫でつくろひつつ見ゐたり。
19.4 明石の母子の雪の別れ
この雪すこし解けて渡りたまへり。
19.5 姫君、二条院へ到着
暗うおはし着きて、御車寄するより、はなやかにけはひことなるを、田舎びたる心地どもは、「はしたなくてや交じらはむ」と思ひつれど、西表をことにしつらはせたまひて、小さき御調度ども、うつくしげに調へさせたまへり。乳母の局には、西の渡殿の、北に当れるをせさせたまへり。
19.6 歳末の大堰の明石
大堰には、尽きせず恋しきにも、身のおこたりを嘆き添へたり。
19.7 東の院の花散里
 年も返りぬ。
19.8 源氏、大堰山荘訪問を思いつく
山里のつれづれをも絶えず思しやれば、公私もの騒がしきほど過ぐして、渡りたまふとて、常よりことにうち化粧じたまひて、桜の御直衣に、えならぬ御衣ひき重ねて、たきしめ、装束きたまひて、まかり申したまふさま、隈なき夕日に、いとどしくきよらに見えたまふ。
19.9 源氏、大堰山荘から嵯峨野の御堂、桂院に回る
かしこには、いとのどやかに、心ばせあるけはひに住みなして、家のありさまも、やう離れめづらしきに、みづからのけはひなどは、見るたびごとに、やむごとなき人びとなどに劣るけぢめこよなからず、容貌、用意あらまほしうねびまさりゆく。
19.10 太政大臣薨去と天変地異
そのころ、太政大臣亡せたまひぬ。
19.11 藤壺入道宮の病臥
入道后きさいの宮、春のはじめより悩みわたらせたまひて、三月にはいと重くならせたまひぬれば、行幸などあり。院に別れたてまつらせたまひしほどは、いといはけなくて、もの深くも思されざりしを、いみじう思し嘆きたる御けしきなれば、宮もいと悲しく思し召さる。
19.12 藤壺入道宮の崩御
大臣は、朝廷方ざまにても、かくやむごとなき人の限り、うち続き亡せたまひなむことを思し嘆く。
19.13 源氏、藤壺を哀悼
かしこき御身のほどと聞こゆるなかにも、 御心ばへなどの、世のためしにもあまねくあはれにおはしまして、豪家こうけにことよせて、人の愁へとあることなどもおのづからうち混じるを、いささかもさやうなる事の乱れなく、人の仕うまつることをも、世の苦しみとあるべきことをば、止めたまふ。
19.14 夜居僧都、帝に密奏
御わざなども過ぎて、事ども静まりて、帝、もの心細く思したり。
19.15 冷泉帝、出生の秘密を知る
 主上、「何事ならむ。この世に恨み残るべく思ふことやあらむ。
19.16 帝、譲位の考えを漏らす
その日、式部卿の親王みこ亡せたまひぬるよし奏するに、いよいよ世の中の騒がしきことを嘆き思したり。かかるころなれば、大臣は里にもえまかでたまはで、つとさぶらひたまふ。
19.17 帝、源氏への譲位を思う
主上は、王命婦に詳しきことは、問はまほしう思し召せど、 「今さらに、しか忍びたまひけむこと知りにけりと、かの人にも思はれじ。ただ、大臣にいかでほのめかし問ひきこえて、先々のかかる事の例はありけりやと問ひ聞かむ」 とぞ思せど、さらについでもなければ、いよいよ御学問をせさせたまひつつ、さまざまの書どもを御覧ずるに、 「唐土には、現はれても忍びても、乱りがはしき事いと多かりけり。
19.18 源氏、帝の意向を峻絶
秋の司召つかさめしに、太政大臣になりたまふべきこと、うちうちに定め申したまふついでになむ、帝、思し寄する筋のこと、漏らしきこえたまひけるを、大臣、いとまばゆく、恐ろしう思して、さらにあるまじきよしを申し返したまふ。
19.19 斎宮女御、二条院に里下がり
斎宮の女御は、思ししもしるき御後見にて、やむごとなき御おぼえなり。
19.20 源氏、女御と往時を語る
御几帳ばかりを隔てて、みづから聞こえたまふ。
19.21 女御に春秋の好みを問う
「はかばかしき方の望みはさるものにて、年のうち行き交はる時々の花紅葉、空のけしきにつけても、心の行くこともしはべりにしがな。春の花の林、秋の野の盛りを、とりどりに人争ひはべりける、そのころの、げにと心寄るばかりあらはなる定めこそはべらざなれ。
19.22 源氏、紫の君と語らう
対に渡りたまひて、とみにも入りたまはず、いたう眺めて、端近う臥したまへり。燈籠遠くかけて、近く人びとさぶらはせたまひて、物語などせさせたまふ。
19.23 源氏、大堰の明石を訪う
「山里の人も、いかに」など、絶えず思しやれど、所狭せさのみまさる御身にて、渡りたまふこと、いとかたし。

薄雲 登場人物

  • 光る源氏  ひかるげんじ  三十一歳から三十二歳---(呼称)源氏の大臣・内の大臣・大臣・大臣の君・殿・君
  • 冷泉帝  れいぜんてい  桐壺帝の第十皇子(実は光る源氏の子)---(呼称)帝・内裏・主上
  • 藤壺の宮  ふじつぼのみや  冷泉帝の母---(呼称)入道后の宮・入道の宮・后の宮・宮・故宮
  • 明石の君  あかしのきみ  源氏の妻---(呼称)山里の人・大堰・母君・君・女
  • 明石の姫君  あかしひめぎみ  光る源氏の娘---(呼称)若君・姫君・君
  • 明石の尼君  あかしのあまぎみ  明石の君の母---(呼称)尼君
  • 紫の上  むらさきのうえ  源氏の正妻---(呼称)女君・対・上・君
  • 夜居の僧都  よいのそうず  藤壺の加持僧---(呼称)僧都
  • 斎宮の女御  さいぐうのにょうご  冷泉帝の女御---(呼称)前斎宮・女御・宮・君

※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。

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源氏物語 薄雲 あらすじ 章立て 登場人物

公開日2018年10月25日/改定2023年3月27日