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薫は、浮舟を宇治の邸に一時的に隠したのだが、いずれ京へ迎えようと思っていた。匂宮は垣間見た浮舟を忘れることができず、宇治から邸に来た女房間の文で察知して、宇治に女がいることを突き止めて、お忍びで宇治へ行った。
薫を装って近づき、契りを結んだ。匂宮はすっかり浮舟に夢中になり、浮舟も匂宮に惹かれて、京へはなかなか帰りたがらないのだった。その後も、忘れられない匂宮はこっそり宇治へ行き、右近には姿を見せるが他の女房たちには分からないように、逢引を重ね、向こう岸の仮屋にまで行って、二人で逢瀬を過ごした。
宮も浮舟を京へ連れて来るべき住まいの準備をした。薫は、浮舟を京につれてくる段取りをしていたが、匂宮の行いをそれとなく気づいて、宮が入れないように、宇治の警備を厳重にするよう、申し付けた。一時は浮舟を宮に譲ろうかとまで思ったが、浮気な匂宮が手を付けた女を、姉の一宮の侍女にしているのを思い、浮舟をそんな扱いにさせたくないと思うのだった。
匂宮と薫と、二人の男に愛された浮舟は、どちらか一方に思いを寄せることができず、身の置き所がなくなり、死を決意するのだった。
浮舟辞世の句
— 母に —
のちにまたあひ見むことを思はなむ
この世の夢に心まどはで
— 寺からきた読経の巻数の文に書きつけ、ものの枝に結いつけて—
鐘の音の絶ゆるひびきに音をそえて
わが世尽きぬと君に伝へよ
名称 | よみかた | 役柄と他の呼称 |
薫 | かおる | 呼称---右大将・大将殿・大将・殿・君、源氏の子 |
匂宮 | におうのみや | 呼称---兵部卿宮・宮、今上帝の第三親王 |
今上帝 | きんじょうてい | 呼称---帝・内裏、朱雀院の第一親王 |
明石中宮 | あかしのちゅうぐう | 呼称---大宮・后の宮・宮、源氏の娘 |
夕霧 | ゆうぎり | 呼称---右大臣・右の大殿・大臣・殿、源氏の長男 |
女一の宮 | おんないちのみや | 呼称---姫宮・一品の宮、今上帝の第一内親王 |
女二の宮 | おんなにのみや | 呼称---二の宮・女宮・帝の御女、今上帝の第二内親王 |
中君 | なかのきみ | 呼称---宮の上・宮の御方・対の御方・上・女君、八の宮の二女 |
浮舟 | うきふね | 呼称---女君・御前・君・女、八の宮の三女 |
中将の君 | ちゅうじょうのきみ | 呼称---母君・母・親、浮舟の母 |
弁尼君 | べんのあまぎみ | 呼称---尼君・尼 |
浮舟の乳母 | うきふねのめのと | 呼称---おとど・乳母 |
時方 | ときかた | 呼称---時方朝臣・左衛門大夫・出雲権守・守の君、匂宮の従者 |
大内記 | だいないき | 呼称---道定朝臣・道定・内記・式部少輔・少輔、匂宮の家来 |
大蔵大輔 | おおくらのたいふ | 呼称---仲信・家司、薫の家司、道定の妻の父親 |
右近 | うこん | 呼称---右近・大輔が娘、大輔君の子 |
随身 | ずいじん | 呼称---御随身・舎人、薫の随身 |
使者 | ししゃ | 呼称---男、匂宮の使者 |
※ このページは、渋谷栄一氏の源氏物語の世界によっています。人物の紹介、見出し区分等すべて、氏のサイトからいただき、そのまま載せました。ただしあらすじは自前。氏の驚くべき労作に感謝します。
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