おばあちゃん

バスに乗る
小柄なおばあちゃんが
優先席に座って
床に届かない足を
ぶらぶらさせていた

まるであどけない子どものようだ

乗客の誰を見るでもなく
眼を中空に遊ばせて
ひとりを楽しんでいるようだ

八十年はゆうに生きてきたように思われますが
もう何の心配事もありませんか
世間のことも
家族のことも
自分のことも

二00六年七月記
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