慾ハナク

賢治に寄せて

慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラツテヰル

ああ なんと激しく屈折したその果てに
浮かんだ微笑だろう

・・・ツバキシ ハギシリユキキスル
・・・ オレハヒトリノ修羅ナノダ

北上山地の光の束が
ぜんぶ屈折して
あなたに注ぎ込んだとしても

あなたの顔は
翳っていて
晴れない

二00六年十月
前頁 詩篇トップ 次頁 HOME