源氏物語  末摘花 注釈

HOME表紙へ 源氏物語 目次 06 末摘花
いどましさ 争う気持ち。女性たちが源氏を張り合うこと。
おぼえ 人からの思われ方、世間の受け、評判。
目馴れたるや 「目馴れる」見慣れる。物事になれる。/ どこにでもある図だ。昔の物語の主人公は、みなこうだった。
たとしへなう情けおくるるまめやかさ 「情けおくるる」情味がとぼしい。愛情が薄い。/ いいようのないほど情愛に欠けた真面目一方な。「まめやか」生真面目。
過ぐしはてず そのまま最後まで押し通すでなく。
なほなほしき方 平凡な男。
のたまひさしつるも多かりける 言い寄ったままでおやめになることも多かった。「さし」[止し]中止の状態を表す語。飲みさし、読み止し、言いさし。
大弐のさしつぎ 源氏が大弐の次に大事にしている人で。「大弐」律令の位。少弐の上、帥(そつ)の下。正五位上。「夕顔」に出てくる大弐の乳母を指している。「さしつぎ」次に。
わかむどほり 天皇の子孫。語義不明。
今一種やうたてあらむ 「いま一くさ」は、酒。「三つの友」は、琴・詩・酒をいう。三つのなか、琴と詩は何よりだが、女に酒は困るの軽口。
わかむどほり 天皇の子孫。語義不明。
ここには時々ぞ通ひける 常陸の宮邸。宮邸を本拠地としていたのを、新しい妻の家に住みついたと読めるので、兵部の大輔は宮家とよほど縁の深い人(末摘花の兄か)と考えられる。
けしきばまし 「気色ばまし」「気色ばむ」(①意中をほのめかす。気どる。の形容詞化。思わせぶりな命婦の言葉。
常陸親王 常陸国太守である親王。上総・常陸・上野は親王任国。その守を太守という。遥任(遥授)の官。任地に行くことを免除されている。任地に行くのは受領。
かたはらいたき まったくお気の毒なことでございます(岩波大系)。申し訳もないことでございます(玉上)。ほんとうにどうなりますことか(小学館古典セレクション)。とても、困りましたことですわ(渋谷)。
見出だして 「見出だす」は室内から外を眺める、意。
百敷 「ももしき」はじめは都、大宮人にかかる枕詞であったが、転じて皇居、御所のことをいう。
やすらひたまふ 「やすらう」躊躇する。ぐずぐずする。
かど 「かど」[才}才能。気が利くこと。
いま心のどかにを 「を」は関投助詞。「いま」は「すぐにまた」「またのんびりと(承りましょう)よ」
いとい顔にもこそ 客を嫌って留守にしているように思われるといけないから。
心にくくて 「心にくくて(とどめたてまつらむ)」。これ以上姫君に接近させては、ぼろがでるので、源氏がもっと聞きたいと思う程度でやめさせたい。
いでや、いとかすかなるありさまに思ひ消えて 現在に姫君は、心細い、気の毒な日常で、命婦自身が安心して源氏の立ち聞きんほ手引きができる有様ではないらしいからと、源氏に遠慮願った。
人の際は、際とこそあれ (すぐ打ち解ける)人の身分な、その程度の身分なのだ。
やつれ姿 「やつる」は服装その他が、その人の格以下になること。ここでは忍び歩きのために狩衣姿をいう。
異人の言はむやうに まじめな人が言いそうなことを、浮気者のお前が、の意。
咎なあらはされそ (わたしの・源氏の)咎なあらはされそ。
あだあだしき 実がない。不誠実な。浮気っぽい。
もろともに大内山は出でつれど入る方見せぬいさよひの月 源氏を十六夜の月にたとえて、行き先を隠したことを、「入る方見せぬ」という。「大内山」は宇多田法皇御所のあった仁和寺北方の山。転じて仙洞御所、さらに内裏をさす。
人の思ひよらぬことよ ここまでつけて来られるとは、誰だって考え付かないことだよ。
里わかぬかげをば見れどゆく月のいるさの山を誰れか尋ぬる」 どの里をも、あまねく照らす月の光は仰いでも、大空を渡って行く月が入ってゆ山まで誰が尋ねて行くものがあろう(新潮)/ どの里も遍く照らす月は空に見えてもその月が隠れる山まで尋ねて来る人はいませんよ(渋谷) /どこの里も分け隔てなく照らす月の光を眺めることはあっても、その月の入る山を尋ねてゆく人があるものか。ひどいではありませんか。
かの撫子 夕顔と頭の中将との間の子。後の玉鬘(たまかずら)。
重き功に 自分の手柄。頭中将はこの遺児の行方を知らないが、源氏は夕顔の侍女の右近から聞いて知っているので、優越感をだく。
あまえて 「あまゆ」慣れ親しんで離れがたい気になる。
つれなう、今来るやうにて 何食わぬ顔で、今来たばかりのようにして。
ただこのたまさかなる御けしきのなつかしきをば、え背ききこえぬに、おのづから隠れなくて 源氏が左大臣邸を訪れる折に、ときたま逢うが、その魅力に引かれて、今も源氏とは離れられない。中務に君は源氏の愛人の一人。
大宮 左大臣の北の方。帝の妹。頭中将、葵の上の母君。
あらましごとに 実現しそうもない予期として、まさかそうならないだろうが。
さて 「さて」は、「あはれげなりつる住まひのさま」を受ける。「さて」そして。それから。そうして。
心やましきに 「心やまし」は、「心病む」の形容詞形。不快である。いらいらする。
あまりうたてもあるかな 「うたてあり」おもしろくない。嘆かわしい。
もの思ひ知りたるけしき< 「もの思ひ知る」は、物の情趣を深く理解する、の意。
とりなしなどして 「とりなす」は、ちょっとした物事でも風流の種に取り扱い、和歌など詠む意。
重しとても 親王の姫君だから、重々しく落ち着いているとしても。
心づきなく 「心付きなし」気に入らない。心がひかれない。
心焦られしけり いらいらする。
すさまじく 興ざめで。
言ひありきける 「歩く」(ありく)は動詞について、その動作をしきりにする意で用いられる。
したり顔にて、もとのことを思ひ放ちたらむけしき 頭中将になびいた後の姫君を想像する源氏の心理。「もとのことを思ひ放ちたらむけしき」源氏が先に言い寄ったこと。頭中将に自慢されたくない気持ち、競争心。
はしたなくて 「はしたなし」は、引っ込みのつかない状態の意で、相手にされないことをいう、
おぼつかなく 姫君の返事がなく、その気持ちが分からず不安だ、の意。/ 「おぼつかない」①(景色などが)はっきりしない。ぼんやりしてる。②意味がはっきりしない。③(状況がはっきりしなくて)気がかりだ。不安だ。
短き心 薄情な気持ち。
人の心ののどやかなることなくて 「人の心」源氏が付き合ってきた女一般。「のどやきあなることなくて」源氏の気持ちを信じて気長に待っていないこと。
思はずにのみあるになむ 不本意な状態で。こちらはいつまでもと思っているのに、女のせいで不首尾な結果になってしまうこと。
御笠宿り 軒下や木陰に雨宿すること。恋の立ち寄り所。
つきなげに ②不似合いである。不相応である。
らうらうじう 気が利いて、洗練された魅力を持っている。/ 物に巧みである。行き届いている。
世づかず、心やましう 「世づかず」は、世間並みでないこと、「心やまし」は、癪にさわること。(玉上)/ 末摘花に根負けしてやめる意思はないというみ心(意地)まで加わって。
もて離れて、似げなき御事とも、おもむけはべらず かけ離れて、不釣り合いなご縁だとも、申し上げたことはありません(渋谷)。お話にならぬ、不相応なご縁と申し上げたわけではございません(玉上)。「おもむく」は、そのように仕向ける。
ものづつみ 引っ込み思案。消極的こと。
わりなきに ③一通りでない。はなはだしい。
手をえさし出でたまはぬ 手を出さない。
物思ひ知るまじきほど 物心もつかぬ子どもの頃や。
> 
独り身をえ心にまかせぬほど 親の庇護下にあって、自分だけで物事を判断し行動することができない年頃。
かの砧の音 源氏は夕顔の家に泊まって、砧の音を聞いた。
ものし [物し]物々しく厭わしい。不愉快だ。
世づける筋 色恋沙汰。
簀子 (すのこ)。「簀子」は廂の外側にある。
心苛られし、うたてあるもてなし 主格は源氏。「こころいらる」[心苛らる]心がいらだつ。「うたて」ひどい。異様な。「もてなし」態度。振る舞い。あしらい。
さうざうしき宵居 「宵居」夜更かしすること。「さうざうし」あるべきものやなすべきもがなく物足りない。
かくわざとがましうのたまひわたれば 「わざとがましう」ことさら意図して。わざとらしい。/ たいそう熱意を示して。
世づかはしく、よしめきなどもあらぬ 「世づかわし」世情を理解する。男女の仲を解する。「よしめく」趣味豊かで、風流らしく見えること。
いとほしき事や見えむなむ 「いとほしき事」(姫君に)不憫なこと。気の毒なこと。/ お気の毒な結果になりはせぬかと。
ひがひがしかるべし 「ひがひがし」甚だしくひがんでいる。ひねくれている。
うとましく 気味が悪い。
け近う今めきたる気をつけばや もう少し親しみやすく、当世風の派手な趣をつけたい。
けしうはあらず 「け(異)しくはあらず」の音便形。たいして悪くない。
いなび 「いなぶ」[辞ぶ・否ぶ]ことわる。
なほ世を尽きせず思し憚るは、つきなうこそ 「世」は「世間」および「男女付き合い」。「尽くす」は「極める」。「世を尽くす」で<世情を熟知する>だが、「世を尽くさず」は「世情を熟知しない」のでは無く、「世を尽くす」の真逆ということで「世間を全く知らない」という意味だろう。*「付き無し」は「不都合、不相応」とあるが、「付く」は「一致する」を意味するから、「つきな う」を「こそ」を伴う強い説得と考えて「道理に合わない」とする。 (あるwebsite から)/【世を尽きせず思し憚る】-「世」は男女の仲をさす。「尽きせず思し憚る」とはどこまでも引っ込み思案に振る舞うこと。(渋谷)
おしたちて、あはあはしき 「おしたちて」無理無体なことをする。「あわあわしき」うすい。軽率である。
御茵 「茵」は約四尺四方(1.2m)、布製。錦の縁取りなどし、後世の座布団。
二間の際なる障子 「二間」は廂にあって、柱と柱の間が二つある部屋。「際」は母屋と廂の間の境目。「障」は現在の襖。
心げさう [心化粧]よく思われたいと思う相手に対して、をつくろいかまえること。
よろしき御衣たてまつり変へ 「よろし」は「よし」に次ぐ、悪くない、ややましな。「たてまつる(奉る)」は侍女が姫君に着物をお着せする。
正身 本人。姫自身。
ゆかしき 「ゆかしい」なんとなく知りたい、見たい、聞きたい。好奇心がもたれる。
男は 男女の恋愛関係の高揚する場面では、「男」「女」とのみ呼ぶことが多い。
用意したまへる 「用意」は心を用いる。注意するの意。準備の意ではない。
心苦しき人の御もの思ひや出でこむ< 姫君のこと。姫君のお気の毒な御物思いの種をまくことになるのではないか(小学館古典セレクション)。お気の毒な姫君の物思いの種となりなしないだろうか(玉上)。
されくつがへる はなはだしくしゃれる。「くつがえる」その動作がはなはだしいこと、の接尾語。
今様のよしばみ 「よしばむ」は、「よし」(趣味・教養)ありげに見せること。
衣被の香 「えびのこう」不詳。衣を薫ずるのに用いる。
いくそたび君がしじまにまけぬらむものな言ひそと言はぬ頼みに 何度といわず何十度、あなたの沈黙に負けたことでしょう、ものを言うなとおっしゃらぬのにせめてもの望みをつないでお手紙をさし上げては(新潮)/ 何度あなたの沈黙に負けたことでしょうものを言うなとおっしゃらないことを頼みとして(渋谷)  / いったい何度あなたの沈黙にわたしは負けたことでしょう、あなたがものを言うなとおっしゃらないのを頼みにしてお訴え申してきたのですが。/ 何十度あなたのだんまりに根負けしたことでしょう。黙れとおっしゃらないのを力に、またつい申してしまいます。
のたまひも捨ててよかし。玉だすき苦し。 私にはっきりおっしゃってまあ、私を見捨ててくださいませよ。どっちつかずは、やりきれない。「 たすき」は両肩のどっちにもかけるので、どっちつかずの状態をいう。
鐘つきてとぢめむことはさすがにて答へまうきぞかつはあやなき 鐘をついて議論を終わりにするようにあなたにものをおっしゃるなとお止めすることはさすがにできませんが、さりとてお答えしにくいのは、我ながら理屈に合わないことです(新潮)/ 鐘をついて論議を終わりにするようにもう何もおっしゃるなとはさすがに言いかねます(渋谷)  /鐘をついてもうこれで終わりとばかりに、あなた様のお話をお断りすることはやはりいたしかねますが、そうかといってお答えしにくいのは、我ながらどうしたことか合点しかねることでございます。「とぢむ」は事を終結させる。「答へまうき」は答えるのがつらい。「あやなし」筋がたたない。理屈に合わない。かいがない。/ 法華八講の論議が鐘をついたあと、発言せず沈黙する行に移ることにかこつけた。
言はぬをも言ふにまさると知りながらおしこめたるは苦しかりけり 何もおっしゃらないのは、口に出す以上に深い愛情を持っていて下さるからだと存じていながら、唖のように黙ってお心の中だけ籠めておかれるのはせつないことでした(新潮)/ 何もおっしゃらないのは口に出して言う以上なのだとは知っていますがやはりずっと黙っていらっしゃるのは辛いものですよ(渋谷)
思ふ方ことにものしたまふ人にや 特別の考えをもっている人かしら(玉上)。全くこんなに返答がないのも、一風変わっており、末摘花の考える点が、他の女と違っておられるのだろうか(岩波体系)。/ (まったくこんな有様なのも普通ではなく)他に意中の人がおありなのかと・・・(小学館古典コレクション)。
あな、うたて 「あなうたて」「うたてやな」いやだ。これはしたり。
たゆめたまへる 「たゆむ」油断させる。
いとほしければ (命婦が姫君を)いとおしく思う。「いとおしい」見ていられないほどかわいそうである。気の毒である。
罪ゆるしきこえて 「罪」は源氏が姫君の部屋に入りこんだことをさす。
心得ず、なまいとほし (源氏が)「心得ず、なまいとほし」と思う。合点がゆかず、なんだか気の毒みたい。「なま」はそれになっていない状態で、それになる一歩手前。気の毒に近いような状態。
声づくらず 「声づくる」とは、咳払いをして合図すること。
軽らかならぬ人の御ほどを、心苦しとぞ思しける 宮の姫君なれば軽くないご身分であるのに、気に入らないのは気の毒であると、源氏はお思いなさるのであった。
御粥、強飯 粥は炊いたもの、強飯は蒸したもの。
召して 取り寄せて。
たてまつりて ③「乗せ奉る」「着せ奉る」などの、上の動詞を略していう慣用的な言い方。④「食う」「着る」「乗る」の尊敬語。③が転じたものか。
いとほしき 気の毒である。いたわしい。かわいそうである。
夕霧の晴るるけしきもまだ見ぬにいぶせさそふる宵の雨かな 夕霧の晴れる気色ーあなたが心を開いて、何でもおっしゃってくださるご様子ーもまだ見えませんのに、さらに気持ちを滅入らせる雨が降って参りました(新潮)/ 夕霧が晴れる気配をまだ見ないうちに、さらに気持ちを滅入らせる宵の雨まで降ることよ(渋谷) / 夕霧の晴れる気配も見えないように、あなたが心を開いて迎えてくださる様子もまだ見えませぬうえに、いっそう私の気持ちの晴れやらぬ今夜の雨です。(小学館古典セレクション)/ やさしく、あなたはしてくれぬ。そこに、この雨、わたしの気持ちはめいるばかり。(玉上)/ 「いぶせさ」心が晴れない。うっとうしさ。
かかることを、くやしなどは言ふにやあらむ。さりとていかがはせむ。我は、さりとも、心長く見果ててむ こんなこと(女に無理な算段をして逢ってみたらつまらなかったというようなこと)を、後悔されることというのだろうか。そういってももう仕方ない。自分は何があっても最後まで気長くお世話しようと思っている源氏の心を知らなければ末摘花の方では、ひどく嘆くだろう。
晴れぬ夜の月待つ里を思ひやれ同じ心に眺めせずとも 晴れぬ夜に月の出を待っている里のように、わびしい思いであなた様のおいでをお待ちしている私の心をお思いやりくださいまし。たとえこの私と同じお気持ちで物思いなさらぬにしても。
まかでたまふ 「まかる」貴人、他人の前から、退出する。
試楽 公事として行われる舞楽の予行演習。単なる練習は、調楽(じょうがく)という。
くたいてける 「くた(腐)してける」だめにしてしまった。
かの紫のゆかり 紫(藤壺)の、あの縁故(紫上)。藤壺の血縁の人、すなわち紫の上。
もの憂きぞ、わりなかりけると (訪問が)もの憂きぞ、わりなかりけると。/ 訪問するのが物憂いと思うのも、もっともなことで。
ところせき御もの恥ぢを見あらはさむの御心も 「気詰り(窮屈)な、末摘花の恥ずかしがりに対して、その顔を見あらわしたいものだ」という御心も。 /「ところせし」[所狭し]②気づまりである。
うちかへし 正反対に。
見まさりするやうもありかし 「みまさる」[見優る]見るたびごとに前よりも優って見える。
手さぐりのたどたどしきに、あやしう、心得ぬこともあるにや。見てしがな 暗いときで、手探りの不明確さのために、不思議に、合点の行かぬこともあるのであろうか。顔をよく見たいものである。
けざやかにとりなさむもまばゆし 灯火などを明るくして、はっきりと見えるように取りつくろうとしても、それも源氏は恥ずかしい。
心もとなくて 姫君の姿が見えないもどかしさをいう。
御台 御膳。/div>
人悪ろき 人が見て悪い。つまり不体裁なこと。///
くさはひ 「くさはひ」は物事の種となるもの。ここでは食品。/ 趣(おもむき)、風情。
 腰につける小さい裳。
かたくなしげなり 窮屈そうだ。
飛び立ちぬべくふるふもあり 「世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば」(万葉集893 山上憶良)
いざとき 「いざとし」は「寝敏し」で、目が覚めやすい。
すくよか 柔らかさがない、人情味がない。
斎院 賀茂神社に奉仕する内親王。系図不明。当時、一般に侍従のように、二箇所に兼務する例はしばしばあった。
心うつくしきこそ 「心うつくしきこそ女はよけれ」「うつくしき」はかわいらしいこと。
うちとけまさり ねんごろの仲になって後、それ以前に思っていたよりもよい女だと思うこと。
後目 顔は動かさず眼だけを動かして後方を見やること。
を背長 「背のたわみ曲がれるをうふなるべし」(玉の小櫛)/ まず座高が高くて、胴長にお見えになる井ので(新潮)。
かたは 方端。不完全でみっともない。
うたてあり 「うたて」物事が移り進んでいよいよ甚だしくなっていくさま。それに対して嫌だと思いながらあきらめて眺めている意を含む。①ますます甚だしく。②程度が甚だしく進んで普通と違う様。異様に。ひどく。③(次に「あり」「思う」「見ゆ」「言う」などの語を伴い、また感嘆文のなかに用いて)気に染まない状態を意味する。どうしょうもない。いやだ。情けない。
何に残りなう見あらはしつらむ どうして何もかも見てしまったのだろう。/ どうしてこうすっかり見てしまったのだろう。
のびらかに 長くのびたさま。
さらぼひて 「さらばふ」は、やせ細って骨ばかりといった姿。
はれたるに 「はる」は「晴る」で額が広いこと。「腫る」でおでこの説もある。
聴し色 薄紅のひどく古びて色褪せた撃を一揃い着て。「聴し色」は、ここでは薄紅。濃い紅が天皇、皇族や勅許による人以外は着用が禁じられ、禁色といったのに対し、こちらは貴賤を問わず、禁制がないので、こう呼ぶ。
なごりなう黒き袿重ねて 
黒貂の皮衣 黒貂(くろてん)の皮を継ぎ合わせて、これに綾の裏をつけ、綿を入れたもの。
もてはやされたり 目立つようにする。
朝日さす軒の垂氷は解けながらなどかつららの結ぼほるらむ 朝日のさす廂のつららは解けましたのに、なぜ、まだ張りつめた氷は解けないのでしょう。二人の仲はここまで深くなりましたのに、なぜ、あなたはいつまでもうちとけず黙っているのですか(新潮) / 朝日のさす軒のつららは溶けているのに、どうしてあなたのお気持ちは、池の氷がかたく張っているように、打ち解けてくださらないのでしょうか。(小学館古典セレクション)/ 朝日がさしている軒のつららは解けましたのにどうしてあなたの心は氷のまま解けないでいるのでしょう。(渋谷)
げに、心苦しくらうたげならむ人をここに据ゑて、うしろめたう恋しと思はばや ほんに、左馬頭の言ったように、かわいそうで可憐な女があるとして、その女をこんな処に置いて、逢わないときがほんの暫くであっても、気にかかるほど恋しいと思いたいなあ。
かの人びとの言ひし葎の門 「雨夜の品定め」で左馬頭の言葉を思い出したもの。
見忍びてむや 「見忍ぶ」はがまんして、世話(結婚)し続ける。
たぐへ 「たぐふ」添わせる。
あひしらはむ あいさつする。応答する。
名に立つ末の 「わが袖は名に立つ末の松山か空より波の越えぬ日はなし」(後撰恋二 土佐)。その歌意に関係なく、三、四、五句を、現在の情景と結びつけ、松の枝からこぼれる雪を波に見立てて興じたもの。
降りにける頭の雪を見る人も劣らず濡らす朝の袖かな 老人の頭に降り積もる雪の白髪を見ると、わたしの袖まで老人のに負けず濡れる、今朝の雪に。(玉上)/ 年をとってしまっている門番の翁の頭の雪を憐れんで眺めると、眺める人(私)までも、雪に濡れた翁の袖に劣らず、涙で濡らす朝の袖であるよ。(岩波大系)/ この雪の朝、老人の頭の白髪に降る雪を見ると、わたしもその老人に劣らず涙で袖を濡らすことよ。(小学館古典セレクション)
世の常なるほどの、異なることなさならば、思ひ捨てても止みぬべきを 姫君が、世間並みの女なら、自分が捨てても、ほかに世話する男があろうから、それですむだろうから。
恥づかしげならぬ (姫君が)恥ずかしいとも思わない。
さる方の後見にて育まむ 生活援助者として、の意。/ 色恋を離れて、今後はそのような(生活の面の)世話をして、保護しようと、考え直して(決心して)。
さまことに、さならぬうちとけわざもしたまひけり 普通と様子が違って、そんな事はあるべきでないような、打ち解けて隔てのないことまで、するのだった。 /普通なら失礼にあたるのでしないような、立ち入ったことまで、世話するのであった。
ねたげなりし「ねたげなり」(学研古語辞典) ①しゃくだ。憎らしい。くやしそうだ ②憎らしいほどりっぱだ。奥ゆかしくすぐれている。「ねたし」(広辞苑)①ねたましい②癪にさわる。憎らしい。/ ねたましいほど立派(岡野弘彦氏の講義から)
御梳櫛 (みけずりぐし)櫛で髪を梳くこと。この場合、源氏の髪の手入れを命婦がする。
ひがひがしう ひねくれている。正常ではない。
父君にも 命婦の父。兵部の大輔。この書き方から、兵部の大輔は末摘花の兄かとも考えられる。
例の、艶なる 「艶」は行為態度に用いられるときは、恋愛情趣をさす。命婦の様子を源氏がひやかしたもの。
陸奥紙の厚肥えたるに 檀紙(だんし)。もと陸奥から多く産した。厚手で白く、小皺がある。懸想文には薄様の色紙を用いるのが普通。これは無趣味である。
唐衣君が心のつらければ袂はかくぞそぼちつつのみ あなたのお心が冷たいので、私の袖はこのようにただもう涙に濡れております(新潮) /あなた様の冷たいお心が恨めしく思われますので、私の袂はこんなにも濡れどおしでございます。(小学館古典セレクション)/ あなたさまのお心がつめたいので袂はこんなにぬれてばかりおります。(玉上)/ 「唐衣」「着る」にかかる枕詞だが、ここは無理に「きみ」の「き」にかけている
心得ずうちかたぶきたまへるに 「心得ず」なぜ「唐衣」や「袂」が読み込まれているのか納得がゆかないし、「かくぞ」(このように)とは、何を言うのか分からなかったのである。/「うちかたぶく」首をかしげて不審に思う。
かたはらいたく 「かたはらいたし」①きまりが悪い。気恥ずかしい。▽自分の言動を、そばにいる人がどう思うかと強く意識される気持ち。出典枕草子 中納言まゐり給ひて 「かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに、入れつべけれど」 [訳] こういうことは、きまりが悪いことの中に加えてしまうべきだけれども。 ②腹立たしい。苦々しい。みっともない。▽他人の言動を、自分がそばで見聞きして気に入らないと思っているときの気持ち。出典枕草子 文ことばなめき人こそ 「おほかたさし向かひても、なめきは、などかく言ふらむとかたはらいたし」 [訳] 大体、向かい合って話す場合でも、言葉が無礼なのは、なぜこのようにしゃべるのかと、腹立たしい。 ③気の毒である。心苦しい。▽そばにいる人のことを思いやる気持ち。 出典源氏物語 桐壺 「このごろの御気色を見奉る上人(うへびと)女房などは、かたはらいたしと聞きけり」 [訳] このごろの帝(みかど)のごようすを拝見している殿上人・女房などは、(弘徽殿(こきでん)の女御(にようご)のなさる音楽を、帝にとって)気の毒だと聞いていた。 (学研全訳古語辞典)Web版。/ これを、どうして、見苦しいと存ぜずにいられましょう。(渋谷)/ こんなのをどうしてお目にかけられましょう。(玉上)/ これを、どうしてはらはらせずにいられましょう。(小学館古典セレクション)
はしたなうは 相手にきまりの悪い思いをさせて。体裁悪くは、姫君に返すことがは、私はできませぬ。相手がはしたないと感じるように。
からかりなまし つらいと思う。
袖まきほさむ人 「抹雪は今日はな降りそ白妙の袖まき乾さむ人もあらなくに」(万葉2321)涙に濡れた袖を枕に共寝して、乾かしてくれる人。姫君の「袂はかくぞそぼちつつのみ」に対してたわむれに言ったもの。
今様色の、えゆるすまじく艶なう古めきたる直衣の、裏表ひとしうこまやかなる、いとなほなほしう、つまづまぞ見えたる (贈り物は)この頃流行してきた色で(の)、紅梅の淡い色で(の)、我慢出来そうもない程に、光沢がなく古臭いようになった衣(単衣)と、直衣で、表裏同一の濃い(こまやか)色で、どちらも共に、仕立て方がたいそう平凡だと、端々が見えた。/ 流行色。薄紅色と察せられる。薄紅色は「聴色(ゆるしいろ)で、「えゆるすまじく」を使った。普通は裏表で色を異にする。/ 流行色の薄紅色だが、我慢できないほどの艶の無い古めいた直衣で、裏表同じく濃く染めてあり、いかにも平凡な感じで、端々が見えている。(渋谷)
なつかしき色ともなしに何にこのすゑつむ花を袖に触れけむ 親しみを感じる色でもないのに、どうしてこの紅花に手を触れたのだろう。心を引かれる人でもないのに(新潮)「すえつむ花」は紅花のこと。 /親しく心ひかれる色でもないのに、どうしてこんな末摘花に袖を触れてしまったのだろう。こんな女とどうして契りを結んでしまったのか。色濃きはなと見しかども。(小学館古典セレクション)/ 心ひかれる女でもないのに、どうしてこの赤いはなを相手にしたのやら。色の濃いはなとは思ったが。(玉上)/ 格別親しみを感じる花でもないのにどうしてこの末摘花のような女に手をふれることになったのだろう。『色の濃い「はな」』だと思っていたのだが。(渋谷)/ 「末摘花」紅花の異名。赤い花が咲くので、姫の赤い鼻とかける。姫君を末摘花とよぶのは、この歌による。/ ベニバナの古名。茎の先端につく花を摘み取って染色に用いることからこう呼ばれる。
花のとがめ 花(鼻)の非難を、命婦は、「やっぱり非難の理由があるのだろう」と考えて、そうかと思い合わせる、時々の月の光などで見る、末摘花の花の色を、気の毒なものながら、源氏の歌を。
紅のひと花衣うすくともひたすら朽す名をし立てずは 紅の一度染めの衣は色薄くても―愛情はそのように薄くても、全く姫君の立つ瀬がないような評判さえお立て下されなければと存じます(新潮) / 紅色に一度染めた衣は色が薄くてもどうぞ悪い評判をお立てなさることさえなければ。(渋谷)/ 薄紅の一度染めの衣の色ように、たとえお気持ちが薄くいらっしゃいましょうとも、ただもう姫君のお名前に傷がつくようなことさえなさらなければよろしいのですが。(小学館古典セレクション)/ 御愛情は薄くとも、せめて、あちらのお名を汚さぬようお気をつけくださいませ。(玉上)/ 「ひと花衣」染料に一度だけつけた、薄い色の衣。/ 「くたす(朽す、腐す)」腐らせる。だめにする。(名を)汚す。おとす。
心苦しの世や 「世」は男女の仲。源氏と姫との間。/ お気の毒なこと。(渋谷)
かいなで 「搔き撫で」の音便。いちおうは形ができていること。
人のほどの心苦しきに (末摘花の)高い身分が気づかわしい故に。
かかるわざは 男(夫)に着物を贈ることをさす。こんなことは常識のある人のすることだろうか。「かかるわざ」は、源氏に生活上の援助を受けているのに、衣服を贈ったりすること。
台盤所 清涼殿の西廂にある女房たちの詰所。
くはや そら。人に物を渡すときの言葉。
心ばみ 「心ばむ」様子を作る。気取る。
ただ梅の花の色のごと、三笠の山のをとめをば捨てて ちょうど紅梅の色のように、三笠の山の少女は捨ておいて。(渋谷)/ ただ、梅の花の色のごと、三笠の山の、をとめをば、捨てて。(小学館古典セレクション)/ ただ、梅の花の色のごと、三笠の山のをとめをば捨てて。(玉上)/ 梅は紅梅。源氏は末摘花の鼻が赤いのを思い出して、この句を口ずさんだ。風俗歌である。(岩波大系)
 
あらず。寒き霜朝に、掻練好める花の色あひや見えつらむ 何でもありません。寒い霜の朝に、掻練(かいねり)好きの鼻の色がお目に止まったのでしょうよ。ぶつぶつとお歌いになるのが、困ったこと。(渋谷)/ いえ、何でも・・・。寒い霜の朝に、掻練(かいねり)をお好きな人の鼻の色合いが見えたのでしょう。あのとぎれとぎれお口ずさみがお聞き苦しいこと。(小学館古セレクション)/ そうじゃありません。寒い冬の朝に、掻練(かいねり)が好きな人の鼻の色合いが君お目についたのでしょう。ぶつぶつ歌っているのがお気の毒で。(玉上)/ 「掻練」衣服の地の名。生絹に対して練って糊をおとし柔らかくした絹。色が記されていないときは、紅色が普通。
左近の命婦、肥後の采女 二人とも女房で赤鼻の持ち主だったらしい。「采女」は後宮の下級女官で、天皇に近痔し、主として食膳に奉仕した。
逢はぬ夜をへだつるなかの衣手に重ねていとど見もし見よとや あなたに逢わぬ夜が重なっているのに、二人の間を隔てる袖を、この上にも重ねて見よというおつもりで、着物を贈ってこられたんですか(新潮) / 逢わずにいる夜が重なっているのに、さらに衣を重ねて隔てよと、贈ってよこしたか。(玉上)/ あなたにお逢いしない夜が重なっているので、中を隔てる衣の袖を恨めしく思っておりますのに、さらにこの衣を重ねて、いよいよ逢わぬ夜を重ねてみよとおっしゃるのですか。(小学館古典セレクション)/ 逢わなくて、幾夜も過ごす私(源氏)と御身と二人の中の衣手(袖即ち衣)に、更に送って下された衣を重ねて、一層ひどく、御身(末摘花)自ら隔てを見もし、、私にも隔てて見よという、お考えであるか。(岩波大系)
ねび人 年寄り。引用。
おぼろけならで 「おぼろげならず」いい加減ではない。通りいっぺんではない。
ひき変へたらむ時 「引きかえる」他のものと交換す。すっかりかえる。姿をける。様子を変える。
やすらひなして 「やすらい」ためらうこと。
生ひなほりを見出でたらむ時 変わって美しくなったのを見出したならば、その時は。「生ひなほり」は、「変わってよくなること」「生まれ変わる」の意はない。悪かったものがよくなること。
いとほしかりしもの懲りに 雪の朝に末摘花の醜い姿を見て、気の毒に思い、そのことに懲りたので。「いとおしい」かわいそうな。気の毒な。
上げも果てたまはで、脇息をおし寄せて、うちかけて 脇息を格子のあたりに押し寄せて、上げかけた格子をその上にのせて外の明かりをとった。
男踏歌 正月十四日に、殿上人や地下の人びとが、足を踏み鳴らしながら、催馬楽を謡って宮中や諸院などをまわる行事。毎年は行われない。天元六年(983)以降、廃絶。
侍たるるものは 「あらたまの年たちかえる朝(あした)より待たるるものは鶯の声」(拾遺・春 素性法師)
さへづる春は 「百千鳥さえづる春は物ごとにあらたまれども我ぞふりゆく」(古今・春上 読み人しらず)自分だけが年をとる。
片生ひ 十分に成熟していないこと。
なつかしき「なつかし」 ①心が引かれる。親しみが持てる。好ましい。なじみやすい。②思い出に心引かれる。昔が思い出されて慕わしい。(学研全訳古語辞典)
無紋の桜の細長 「無紋」は模様のないこと。無地。祖母君の喪中の故であろう。「桜」は桜襲(かさね)のこと。表白、裏赤または蘇芳。「細長」は若い貴婦人の服、小袿の上に着。
ひきつくろはせたまへれば 「ひきつくろう]身だしなみをととのえる。
眉のけざやかになりたるも 眉の毛を抜いて黛を引くから、はっきりする。成人した女性の証。
心から、などか、かう憂き世を見あつかふらむ。かく心苦しきものをも見てゐたらで 自ら求めて、どうして、こうもうっとうしい事にかかずらっているのだろう。こんなにかわいい人とも一緒にいないで。(渋谷)/ 源氏は、(紫の上の美しさを見るにつけても)自分の心のせいで(自分からもとめて)どうしてこんなにもつらい男女関係を、あれこれと見扱うのだろうか、こんなにかわいい紫の上を見ないで。(岩波大系)/ 自分か進んで、どうしてこうつらい女性関係にかかずらうのだろう。こんなにいじらしい人を見て、一緒におることもしないで。(玉上)/ 自ら求めてのことながら、どうしてこうもままならぬ縁にかかずらわっているのだろう。こんないじらしいものを捨ておいて。(小学館古典セレクション)「かく心苦しきもの」紫の上のこと。/ 「見あつかふ」②厄介な思いをする。心労する。引用。
/
かたは 片端、不完全で、みっともない。
うたて ①ますます甚だしい。②異様に。ひどく。③(次に「あり」「思ふ」「見ゆ」「言ふ」などの語を伴い)心に染まない感じを表す。どうしょうもない。いやだ。情けない。
平中 平貞文(?-923)中将好風の子。平中は、女を訪れるときに、硯の水入れを持参して、目をぬらしてなくふりをして。女が水入れに墨を入れておいたので、平中の顔は真黒になたという話がある。
あへなむ がまんできる。「あ(敢)ふ」ひゃがまんする意。
妹背 「妹背」は」この時代には、夫婦の間にも兄妹の間にも用いる。ここでは兄妹と見るべきか。源氏19歳、紫の上11歳。まことに好ましいご兄妹。(小学館古典セレクション)/ 実に好ましい御夫婦。(玉上)/ 見事な夫婦。(岩波大系)/ とても睦まじい兄妹。(渋谷)
階隠 建物の正面の階段をおおう屋根。
紅の花ぞあやなくうとまるる梅の立ち枝はなつかしけれど 紅の花がわけもなく厭わしい、紅梅の高々とした枝は心ひかれるけれども(新潮)/ 赤い花だけはどうにも好きになれない。紅梅の高く伸び立っている枝には心ひかれるけれど。(小学館古典コレクション)/ 紅い色の花がわけもなく嫌になる。梅の立枝は心ひかれるが。(田上)/ 紅の花はわけもなく嫌な感じがする梅の立ち枝に咲いた花は慕わしく思われるが。(渋谷)
かかる人びとの末々、いかなりけむ こういう方々の将来は、どうなられたことでしょう。物語の語り手が読者に期待を持たせようとしていう言葉(新潮)/こんな人たち、すなわち空蝉、軒端の荻、末摘花の行く末はどうなったであろうか。「けむ」過去推量。

HOME表紙へ 源氏物語 目次 06 末摘花
公開日2017年8月17日